相続対策としての建築は相続対策として本当に有効でしょうか?
結論から言うと、方法さえ間違わなければ有効です。
方法とは何でしょうか。それは、資産価値を減らさずに相続評価額を減らすことです。例えば、1億円の現金は相続税評価額としてはそのまま1億円として評価されますが、
アパートを建築した場合どのようになるのかを説明します。
建てたアパートの資産価値として1億円を確保するには利回り6%として、年間600万円の家賃が上がるアパートである必要があります。この条件を満たすには家賃¥8千円/坪とすると、62.5坪の賃貸面積が必要です。
62.5坪の賃貸面積を取るために建物の面積が240m²であるとすると約70万円/坪の建築費で5千万円となります。
そこで、容積率が150%以上の土地であれば50坪で上記の建物が建築可能ですので、100万円/坪で50坪=5千万円の土地を購入します。
このようにすると相続税評価額は以下のようになります。
土地 5000万円 x 70% = 3500万円
建物 5000万円 x 82% = 4100万円
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合計 1億円 7600万円
上記の通り資産価値として1億円の物件が相続税評価額としては7600万円となり
2400万円の評価減となります。
次に資産価値を減らしてしまう例です。
1億円(100坪)の土地を持っている人が、5000万円でアパートを建てます。
この土地の容積率が80%の場合建築可能な面積は80坪(占有面積:64坪)となります。
賃料が8千円/坪・月の場合年間で6,144千円の賃料となりますので、利回り6%とすると
この物件の資産価値は 6,144/6%=102,400千円となります。
土地と建物併せて1億5千万円であった資産が、上記の通り1億240万円になってしまったわけです。
相続税評価額は、
土地 10,000万円 x 70% = 7,000万円
建物 5,000万円 x 82% = 4,100万円
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合計 1億5千万円 11,100万円
相続税評価額を下げた以上に資産価値も下げてしまったことになります。
家賃収入が目的であればこの建築も間違えではありませんが、相続対策が目的であるとすると賢明であるとはいえないと思います。